佐々木クリニック 泌尿器科・小児泌尿器科
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こども(小児・男子)の包茎について

包茎とはおちんちんの先端の包皮口が狭いために包皮をむいて亀頭を完全に露出できない状態をいいます。包皮が全くむけないものを真性包茎、むくことは出来るが通常は亀頭を被っているものを仮性包茎などと呼ぶこともあります。

生まれてきた男の赤ちゃんは包茎の状態が正常です。亀頭部全体が包皮でおおわれていないような場合はむしろ尿道下裂などの先天性のおちんちんの異常を疑う必要があります。

包皮がむけない状態がいつ頃まで続くのかは子供によって様々です。
生殖器が急激に成長する思春期(12才から15才頃)までに包皮は剥けるようになり、思春期を越えた男子では包皮はスムーズにむいて下げられるようになります。

question子どものときに包茎だとなにか困ることがありますか?

answer以下に説明させていただきます。

排尿時の包皮のふくらみ:包皮口が狭いと排尿時におちんちんの先端が風船状(バルーン)にふくらむことがあります。そのためおしっこがあらぬ方向に飛び散りトイレを汚して困るということはありますが、それ自体で尿の出が悪くなって健康状態に影響するようなことは非常に稀です。

亀頭包皮炎:3才前後よりおちんちんの先端が赤く腫れて痛がる、ということを男の子は経験することがあります。白い膿が包皮から出ることもあります。これは亀頭や包皮先端の炎症で亀頭包皮炎と呼びます。このような炎症は短期間の抗菌薬の内服や塗り薬、温浴(シャワーや洗面器にはったお湯でおちんちんを一日数回洗います。石けんなどは使用しなくて大丈夫です)でよくなります。繰り返す場合には包茎に対する治療を考えます。亀頭包皮炎を起こしたときに無理に包皮を剥離する必要はありません。痛がるこどもを押さえつけて包皮を剥いたりすることは、本人にとってもご両親にとっても好ましいものではありません。

恥垢(ちこう):子供のおちんちんをよく見てみると包皮の下に黄色い脂肪のかたまりのようなものが透けて見えることがあります。これは包皮と亀頭からの分泌物であり恥垢と呼びます。これにより自然と包皮と亀頭表面の分離が進みむけやすくなります。この分泌物には細菌はついてなく成長と共に包皮がむけてくると自然に排出されるので特別な処置は必要ありません。
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包皮から透けてみる白い部分が恥垢です

尿路感染:アメリカから報告されている研究論文のなかには、生まれたときに環状切除術を受けている男の子の方が受けていない包茎の男の子より乳児期(特に6ヶ月以下)の尿路感染(おしっこに細菌がはいって腎臓や膀胱で炎症を起こす病気)の頻度が低いと報告しているものがあります。
1歳以上では男児の尿路感染は少なくなり手術の利点はないと考えられています。

questionこどもの包茎は治療する必要がありますか?
answer以上に述べたように、こどもの包茎自体は病気ではありません。
尿線が飛び散る、包皮が膨らむ、包皮炎を繰り返すなど、症状がある場合には治療が必要と考えます。

question包茎を治療する場合、どのように行うのですか?
answer当院では、症状の無い包茎に対しては何もしないで自然経過を見ることをおすすめしています。治療が必要な場合は次の二つのオプションを説明しています。

1)ステロイド軟膏を使った包皮翻転(ほんてん)

これは包皮の外側を手でずり下げて亀頭を露出する方法(用手的に包皮をむく治療)です。当科では軟膏(リンデロンVG軟膏、キンダーベートなど)を塗布した包皮翻転指導をおこなっています。包皮をずり下げてむけなくなる狭い部分に少量のステロイドの入った軟膏を朝晩2回薄く塗ります。最初は包皮表面から少量の出血を伴う場合があります。一定期間以上(少なくとも2週間以上)継続する必要があります。気をつけなければならない点は、包皮がむけて亀頭が露出できたあとは必ず包皮をもとに戻しておくことです。むいた包皮を戻さないと皮膚がむくんできて戻らなくなります。亀頭が手前でしめられた形となり腫れ上り大変痛がります。このような状態を嵌頓(かんとん)包茎(写真)と呼びます。
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(Vol12(1), janvier-février 2009より引用)
嵌頓(かんとん)包茎になってしまった場合は、用手的に整復する必要があります。むくことの出来た包皮は必ずもとに戻せますからあわてず、ゆっくり戻してください。ご自宅で戻せない場合は医療機関にお問い合わせください。ステロイド軟膏を使った包皮翻転でむけるようになる頻度は高いのですが、むけた後にやめてしまうとまたむけなくなります。毎日お風呂や排尿時に包皮をむく習慣をつけさせてください。一度スムースに剥けるようになった後は軟膏を塗る必要はありません。

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[ステロイド軟膏を使った包皮翻転の剥けていく段階]
A 治療前 包皮が全く剥けていない状態。包皮輪は先端に位置する。
B 包皮を用手的に陰茎根部の方向へ牽引すると、包皮輪が少し下がり包皮がめくれ始める。包皮のくびれ部分にステロイド軟膏を塗布する。包皮翻転の第一段階。
C 外尿道口が露出し亀頭の一部が見えている。一部、包皮と亀頭が癒着していることがある。ここまで剥くことができれば排尿に関する問題はなくなる。この段階では包皮輪は亀頭の一番太い部分を超えていない。一部のお子さんでは包皮と亀頭が癒着している場合がある。癒着部分は恥垢によっていずれ自然に剥離する。
D 包皮が完全に剥け、亀頭が露出した状態。包皮輪が十分に広がっていないときにはすぐに戻す必要がある。剥けたまま放置するとカントン包茎になる。

2)手術療法

これには亀頭を包んでいる包皮を切除して亀頭が露出している状態にします。手術時間は通常30分程度で、こどもの場合は全身麻酔で行います。手術の合併症は出血や感染です。糸はすべて吸収されるので抜糸はありません。手術が必要と判断した場合は昭和病院で手術(2泊3日)を行います。

閉塞性乾燥性亀頭炎 (balanitis xerotica obliterans [BXO])について
亀頭包皮炎を繰り返したり、無理な包皮剥離後、包茎手術後に包皮輪が白色に瘢痕化してしまうことがあります。これを閉塞性乾燥性亀頭炎(BXO)といいます(写真)。

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閉塞性乾燥性亀頭炎になってしまうと、ステロイド軟膏などで包皮翻転することが難しくなります。このような場合には手術治療をお勧めします。

[8歳 男児 包茎手術後2週間]
包茎は改善しスムーズに排尿できるようになった。縫合糸は少しずつ自然にとれてきている。縫い目はほとんど目立たない。
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詳しくは当院までご相談ください。TEL:042-344-3390まで

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